ザ・チェア2017-05-23
ここまでの椅子をつくってしまうとは
それも完璧に!!もの凄いことだと思っています
つくられたのは「ザ・チェア/The Chair」と同じ椅子
この椅子は1960年にアメリカテレビで大統領候補ジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンが
The Chair / ザ・チェアに座り、討論会を行ったことは有名な話があり
威厳のあるフォルムと素晴らしい掛け心地を持ち
「ザ・チェア」と呼ぶにふさわしいチェアの代表格
この素晴らしい曲線のフォルムで座り心地と強度を追求した椅子は
同じ形をつくるだけでも想像を絶し、それを座って使えるようにつくるなんて
考えるだけでつくることを諦めてしまうそんなレベルで、
しかもつくる材料調達も一般に人には無理な大きさです
英語の古書に載っていた「ザ・チェア/The Chair」から
何枚も図面の下書き角度を計算し、分からない部分はつくられた経験者に教えてもらい
詳細な図面を完成するのに何十時間も時間を費やされたと思います
大型木工機械がないとできない部分は仕口の形を変えて強度を確保し
教室に在るすべての機械と道具と言っていいほどの種類を使いこなし
木工教室は週一回のペースのため数年掛けて完成させられました
全てが美しい !そして信じられない完成度
いくら探してもこの椅子を表現する言葉を自分は見付けれません
木材はナラを使いオイルのクリア仕上げ、座面はペーパーコードを編まれています
座るとスーと座面と背もたれが吸い付くような感じで
もう、座ったら立つのが嫌になる!!
制作の様子を少しだけ
この曲線を出すために
大きな角材からバンドソーでカット
実は使うところが三分の一であとの三分の二は端材に
これだけ大きな角材を探すのが木材屋さんでも今は非常に大変
背もたれと肘掛は3枚の板を接合
あの滑らかな全ての曲線は
なんと何種類もの鉋を使って削り出しなんです
どれだけの時間を掛けているか・・・
授業はいつも削っている風景そんな日が何ヶ月も続いていました
最後はサンドペーパー仕上げ
脚の接合も強度を出すために写真のような二枚ホゾで
ホゾ穴も曲線と隙間無く接合できるように斜めに一段凹に掘り込んであります
脚の○は木工旋盤で型紙に合わせて削り出し
仮組の時の様子!ここまで来るのも大変そして
脚の方向き角度が一度でも違えば、
肘掛と背もたれに接合できない!そんな精度が要求されます
一部を振り返っただけでも、よく完成出来たなぁと思わずにはいられませんでした
そして・・・驚愕の事実が
これだけ無茶苦茶大変な工程をやり遂げたら・・・いやになりそうなのに
新しい刺激もなくなり・・・・つくりたい気持ちも失いそうなのに
どれだけ苦労されているか傍で見ているから分かっているのに
写真の分は奥様へのプレゼント用
なんと
現在・・・自分用の同じ椅子を制作中
もう一脚つくるなんて
信じられません
自分には考えられません
完成した椅子にも、生徒さんの作業風景にも、つくる思いにも
自分には驚くことしかできませんでした