ウッドロード 誕生秘話【第5章】
第5章
熊本で杉がどんどん伐採される頃、大阪では解体が始まりました。
本来ならプロに お願いするところですが・・・ 倉田代表が知り合いの方と 一緒にやってくれることになりました。 「解体屋さんですか?」と聞きたくなります。
解体作業で出たいらない物は、 産廃として2tトラックで処分場へ。 この担当も・・・産廃処理の資格を持つ代表が担当
ある時はハツリ屋さんの代表
床のコンクリートの高さの違いを揃えるためにハツル(砕く)ことに。 ドドドドドドドォ~。 重いし、振動は大きいし、 抜くのが大変!
たまたま居合わせたカフェの オーナー浅香さん。 「これも経験!やってみてください!」と無理やりすすめ・・・ ロングスカートでハツリに挑戦!
自分はなんと~・・・写真担当! これが大変!なわけないですね。 砕いたコンクリートを集める時にはスコップを折り・・・ 作業しているのか?邪魔しているのか? 新しいスコップを買いに行こうとすると・・・ 代表の、ある時は溶接屋さん~ 折れたスコップの柄を直してくれました。
もともとこのスコップ。 柄がガスパイプで直した手作りのもの。 何でも大切に使うその姿勢は学ぶことばかりです。
代表の~
ある時は塗装屋さん。
ある時は左官屋さん。
ある時は鉄職人さん。
ある時はセメント下地屋さん。
代表は一体何屋さん?!
そして遂に・・・ 12月19日、 とうとう大阪に杉がやって来ました! かぶせられたシートを取ると、 そこには杉が・・・
トラックの荷台に たくさんの職人さんがバトンを繋ぎ、杉はこの日を境にどんどん大阪へやって来ました!
角材を組むのではなく丸太、しかも皮付き。 これには超難易度の高い組手を加工する技術が必要になります。 どうして墨線をかいたらいいのかすら自分には分かりません。
そんな仕口加工に挑戦してくださる大工の棟梁はステンド教室の 先生の旦那さん、後藤さんです。
自分が書いた全体の図面には 丸太が立つ位置だけ! あとは何も書いていません!
それでも後藤さんの頭の中に 全ての図面があり 複雑な仕口がどんどん現れ最後はマジックです!
丸太は自然そのまま、全てが寸法違い! 元口(根元の方の切り口)と末口(上の方の切り口)の直径も全く 違います。 そんな丸太に複雑なホゾとホゾ穴加工がされ自分は見てもいったいどう組み上がるのか想像もできず・・・ それも図面なしで・・・一人で・・・ 限られた道具だけで黙々と刻まれていきました。
そしていよいよ棟上げの日。
12月31日大晦日
店舗に入った瞬間はいつもと空気が違い、 今までに感じた事のない物々しい雰囲気に一気に呑み込まれてしまいました!
そこにはなんと9人の大工さんが作業されていてその中には7人もの棟梁が! このクラスの大工さんがこんなに集まることはまずないとのこと。
何かと忙しい大晦日にも関わらず、 こんな凄い方たちが集まったのも材料を仕組んだ後藤さんの人柄と腕があり、また皮付きの丸太を棟上げするという前代未聞のことに皆さん関心があったようです。
一本目の丸太が代表の動かすフォークリフトに吊られ 二人の大工さんの手に渡り
大阪の地に柱として立ちました!
42年前に熊本の地に植えられてから今日この日までに、どれだけ多くの方がこの杉に触れたのか・・・ そんなことを考えると「ありがとうございます!」と感謝の気持ちでいっぱいになる瞬間でした。
外では棟梁の奥様方がおでんと粕汁を準備。 この手作りの温かさも素敵でした! 雨予報だった天気も雲一つない青空。 天気まで応援してくれた素晴らしい日。
その後も次々と柱が立てられ、
フォークリフトが入れない場所の梁は、人力で柱の上へ。 まだ水分をたっぷり含んで重たい丸太を皆で担ぎ上げます。
そして遂に棟上げが完成! 一方、兵庫県養父市の方では、正垣木材さんと丸正木材さんが それぞれの得意な加工技術で熊本の杉を全て製材して下さりました。
雪の山と杉。 気候が変わるここまで旅をしてきました。 乾燥中。 乾燥機から出された杉からは白い湯気が。 何かを語りかけてくるようなその姿に圧倒されます。
心強い製材のプロ集団。 無茶苦茶なお願いに応えて下さり ほんとうにありがとうございました。
第6章・第7章へつづく・・・→ウッドロード誕生秘話【第6章・第7章】